- 2026年10月23日
点眼で「痛み・ゴロつき」にアプローチする新しいドライアイ治療薬 アバレプト
こんにちは。院長です。
秋から冬へと空気が乾くこれからの季節は、ドライアイの症状がつらくなりやすい時期です。そのような折、2026年4月6日、ドライアイ治療にまったく新しい考え方の点眼薬「アバレプト懸濁性点眼液0.3%」(一般名:モツギバトレプ)が千寿製薬から発売されました。2025年12月22日に国内承認を取得した、TRPV1(トリップブイワン)という受容体を阻害するドライアイ治療薬としては世界初の点眼薬です。
この記事のポイント
- ドライアイの「痛み・ゴロつき」には、目の神経の過敏さが関わっています
- アバレプトは、その神経の信号にアプローチする新しいタイプの点眼薬です
- 1日4回、よく振ってから点眼します。使うかどうかは診察で判断します
製品名アバレプト懸濁性点眼液0.3%
一般名モツギバトレプ
国内承認 / 発売2025年12月22日 / 2026年4月6日
製造販売千寿製薬
ドライアイは「乾く」だけの病気ではありません
ドライアイは、さまざまな要因で涙の層(涙液膜)が不安定になり、目の不快感や見え方の乱れ、目の表面の傷をきたすことがある病気で、国内の患者さんは2,200万人ともいわれています。
症状は「乾く」だけではありません。次のような多彩な症状がドライアイから起こります。
乾くごろつくチクチク痛むしみるまぶしい疲れやすい
これまでの治療との違い
従来のドライアイ治療は、目の表面を守り、涙を増やすというアプローチが中心でした。
| アプローチ | 代表的な点眼薬 | 概要 |
|---|---|---|
| 潤いを補う | ヒアルロン酸点眼液など | 涙の層を厚く保つ |
| 涙を増やす | ジクアス、リジェミン | 涙や粘液の分泌を促す |
| 目の表面の修復を助ける | 自家血清点眼など | 角膜の傷の修復を支援する |
| 神経の過敏さを抑える【新】 | アバレプト | 痛み・ゴロつきの信号にアプローチする |
それでも症状が残る患者さんもいらっしゃいます。その一つが、目の表面の傷は少ないのに、強い痛みやゴロつきを訴えるタイプです。近年、このような「症状のつらさ」には、目の神経の過敏さ(知覚過敏)が深く関わることがわかってきました。
アバレプトは、この痛みやゴロつきの神経の信号そのものにアプローチする、新しい考え方の点眼薬です。
アバレプトの仕組み
有効成分のモツギバトレプは、TRPV1という受容体を阻害します。TRPV1は、温度や痛みの刺激を感じ取る「受け口」のようなもので、目の知覚をつかさどる神経(三叉神経節細胞)や角膜の表面の細胞、免疫細胞(T細胞)にも存在します。
STEP 1
TRPV1は神経・角膜の細胞・免疫細胞にある「刺激の受け口」
▶
STEP 2
モツギバトレプがTRPV1の働きを抑える
▶
期待される効果
自覚症状(痛み・ゴロつき・乾き)と目の表面の傷の両方の改善
臨床試験での結果
536例
国内のドライアイ患者さん
1日4回
点眼回数
8週間
試験期間
国内のドライアイ患者さん536例を対象とした試験(プラセボ〔偽薬〕を対照とした第III相試験)では、本剤またはプラセボを1日4回、8週間点眼しました。ドライアイの症状や生活への影響を評価する「DEQS」という質問票(点数が高いほど症状がつらい)では、4週後の時点で本剤群がプラセボ群よりも有意に大きく改善していました。
使い方
- 1キャップを閉じたままよく振ってから点眼します(白く濁った「懸濁液」のため)。
- 21回1滴、1日4回点眼します。
- 3点眼後は1〜5分ほどまぶたを閉じて、涙の出口(目頭側)を軽く押さえると、薬液が目に留まりやすくなります。
- 4他の点眼薬を併用する場合は、5分以上あけて点眼します。
- !開ける前の容器は、上向きで保管してください。
副作用と注意点
国内の試験では、副作用は5.6%の患者さんに認められ、主なものは「体が冷たく感じる」「目が冷たく感じる」「点眼後の一時的なかすみ(霧視)」でした。
ご注意ください
- 点眼直後にかすむことがあるため、かすみがおさまるまでは車の運転や機械の操作に注意してください。
- 口の中の味覚の変化や、ほてり・熱感など温度の感じ方の変化が報告されています。気になる症状があれば遠慮なくご相談ください。
- お体の小さな方やお子さんでは、薬の影響を受けやすいことがあるため、医師が慎重に判断します。
- 妊娠中・授乳中の方は、事前にご相談ください。
おわりに
アバレプトの登場で、これまで治療の選択肢が少なかった「痛み・ゴロつき」のつらいドライアイに、新しい選択肢が加わりました。使用を開始するかどうかは、検査の結果と症状を伺ったうえで、患者さんごとに判断いたします。
乾きやゴロつきを「年齢のせい」とあきらめず、
まずは診察でご相談ください。
※本記事は2026年10月時点の情報に基づいています。
