• 2026年9月25日

「眼瞼下垂」に点眼という新しい選択肢

アップニーク®ミニ点眼液について

院長より患者さんへこんにちは。院長です。2026年5月、後天性眼瞼下垂(がんけんかすい)に対する新しい点眼薬、アップニーク®ミニ点眼液0.1%(一般名:オキシメタゾリン塩酸塩/参天製薬)が発売されました。これまで手術でしか治療できなかった眼瞼下垂に、日本で初めて点眼という治療が加わったお薬です。今日は、どんな薬なのか、どんな方に効くのか、気をつけることを整理してお伝えします。

後天性眼瞼下垂とはどんな病気か

眼瞼下垂は、生まれつきの「先天性」と、後から起こる「後天性」に分けられます。後天性で最も多いのは腱膜(けんまく)性で、まぶたを持ち上げる腱が加齢やコンタクトレンズの長期装用などでゆるみ、まぶたが徐々に下がってくるタイプです。

まぶたが下がると、見た目の変化だけでなく、上方の視野が狭くなります。

• 上側が見えにくく、歩行時や階段の昇降で不安を感じる

• まぶたを上げようと無意識に眉を上げる → おでこのしわが深くなる

• 上を見るためにあごを上げる → 肩こり、頭痛、疲労感

こうした「目の症状以外」の不調こそ、眼瞼下垂を治療する意味だと考えています。

なぜ点眼でまぶたが上がるのか

まぶたを持ち上げる筋肉には、次の2種類があります。

筋肉はたらき
眼瞼挙筋(がんけんきょきん)まぶたを上げる主力。自分の意思で動く
ミュラー筋眼瞼挙筋の内側にある補助役。交感神経で動く

アップニークの有効成分であるオキシメタゾリン塩酸塩は、このミュラー筋にあるα受容体にはたらいて筋肉を収縮させます。つまり主力の筋肉に直接はたらくのではなく、補助役の筋肉をより働かせることで上まぶたを引き上げるという仕組みです。

そのため、眼瞼挙筋そのものの働きが大きく落ちている場合や、皮膚のゆるみが主な原因の場合には、点眼の効果が十分に得られないことがあります。そのようなときは、やはり手術が有力な選択肢になります。

効果はどのくらいか

点眼してから5〜15分ほどで効果があらわれはじめ、1〜2時間で最大となり、およそ8時間持続します。朝1回点眼すれば、日中はまぶたが開いた楽な状態で過ごせます。

国内の第III相試験では、まぶたの開き具合を示すMRD-1(瞳孔中心から上眼瞼縁までの距離)について、プラセボに対する優越性が確認されました。探索的解析では、点眼後8時間以上にわたる改善も報告されています。

実際の実感としては、瞼の開きが1〜2mm程度改善するというイメージです。それだけでも上方の視野はしっかり広がり、ものが見やすくなります。

向いている方・注意が必要な方

この薬は「点眼している間、まぶたを上げる」お薬です。ですから、まず下垂の原因が何かを確認することが大切です。

• そちらの治療を優先する場合:脳卒中、脳動脈瘤、ホルネル症候群、重症筋無力症、皮膚弛緩症などが疑われるときは、それらの治療を優先します

• 使用に確認が必要な方:心血管系疾患のある方(血圧・脈拍が変動するおそれ)、閉塞隅角緑内障の方(急性発作を起こすおそれ)、妊娠中・授乳中の方、他の薬を使っている方(特にMAO阻害剤、降圧剤、ジゴキシンなど)

小児等を対象とした臨床試験はありません。また、6ヵ月を超えて点眼したときの有効性・安全性は検討されていません。

診察室で1滴試し、15〜30分後の反応をみれば、ご自身に効くかどうかを事前に確かめられます。当院でも、必要に応じてトライアル点眼を行ったうえでご説明しています。

使い方と生活上の注意

• 1回1滴、1日1回(成人)。1日に2回点眼したり、1回に2滴点眼したりしないでください

• 点眼し忘れたときは、その日のうちに気づいたらすぐに1回分を点眼してください。翌日に気づいた場合は、前日の分は点眼せず、いつも通り1回1滴を点眼します

• 他の点眼薬も使う場合は5分以上間隔をあけてください

• 本品は1本0.3mLの使い切りタイプです。開封後は使い切って必ず捨て、容器の先がまぶたやまつ毛、目に触れないようにしてください

• 開封後は添付の遮光用投薬袋に入れ、直射日光と湿気を避けて室温で3ヵ月以内に使用してください

• 点眼により散瞳(さんどう)が生じ、まぶしさやかすみを感じることがあります。症状が回復するまでは自転車・自動車の運転や機械の操作を避け、必要に応じてサングラスを着用してください

• コンタクトレンズを使っている方は、診察時にお知らせください

気になる症状があれば早めにご相談ください主な副作用として、眼瞼そう痒感(まぶたのかゆみ)、結膜充血、点状角膜炎、かすみ目などが報告されています。頻度は低いですが、結膜浮腫、眼瞼湿疹、視力障害、血圧上昇、心拍数減少なども報告されています。

費用について

本剤は現時点では保険適用ではなく、自由診療(自費)での処方となります。(米国では2020年に承認され美容目的でも使われていますが、日本では適応が「後天性眼瞼下垂」であり、美容的な要素を含むことから自由診療となっています。)費用は診療内容によって異なりますので、診察時にご案内します。

最後に

アップニーク®ミニ点眼液は、これまで「手術」しかなかった眼瞼下垂の治療に、「点眼」という選択肢を加えてくれるお薬です。すべての方に合うわけではありませんが、まず診察を受けて下垂の原因を確認したうえで、適応かどうかを判断します。

「最近まぶたが重い」
「上側が見えにくい」
「眠そうに見えると言われる」そんなお悩みがありましたら、診察の際にどうぞお気軽にご相談ください。

院長

大野眼科クリニック

参考文献

• 参天製薬「後天性眼瞼下垂治療剤『アップニーク®ミニ点眼液0.1%』国内における製造販売承認を取得」

• 添付文書情報(KEGG 2026年3月改訂 第2版)

• くすりのしおり「アップニークミニ点眼液0.1%」(JAPIC)

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