• 2026年6月8日

遠近両用コンタクトが合わなかった方へ 白内障手術で入れるレンズは大丈夫?

こんにちは。院長です。

白内障手術を控えた患者様から、
「以前、遠近両用のコンタクトレンズを使ったときに、気分が悪くなってしまった」
「同じ“遠近両用”なら、手術で入れるレンズも自分には合わないのではないか」
とご相談を受けることがあります。

このように不安になるのは、とても自然なことです。
実際につらい経験をしたあとであれば、次の治療にも慎重になるのは当然です。

まずお伝えしたいのは、遠近両用コンタクトレンズと、白内障手術で目の中に入れるレンズは、同じ“遠近両用”という言葉が使われていても、仕組みがかなり違うということです。
ですので、コンタクトレンズが合わなかったからといって、手術のレンズも必ず合わないと決まるわけではありません。

そもそも、なぜ遠近両用コンタクトでつらくなることがあるの?
遠近両用コンタクトレンズは、1枚のレンズの中で、近くを見るための見え方と、遠くを見るための見え方の両方を助けるように作られています。
そのため、目や脳は、そのとき見たい距離に合った情報をうまく選び取る必要があります。
人によっては、この仕組みに慣れるまで時間がかかったり、違和感を覚えたりすることがあります。

さらに、コンタクトレンズは目の表面にのせて使うため、目の乾き、レンズのわずかな動き、見え方のにじみ、疲れやすさなどが重なると、目の疲れ、頭痛、ふわふわした感じ、気分の悪さにつながることがあります。

つまり、「合わない」と感じる理由はひとつではなく、いくつかのことが重なって起こる場合が少なくありません。

白内障手術で入れるレンズは、コンタクトとどう違うの?
白内障手術では、白く濁ってしまった自分のレンズを取り除き、その代わりに人工のレンズを目の中に入れます。
これは白内障手術の基本で、手術で入れるレンズは、コンタクトレンズのように目の表面にのせるものではありません。

この人工のレンズは、通常、目の中に安定して入るため、コンタクトレンズのように、まばたきのたびに表面で動いたり、外したり入れたりするものではありません。
そのため、コンタクトレンズのときに感じた「ずれる感じ」や「つけている感じ」とは、別の種類の見え方になります。
ここがいちばん大きな違いです。

では、手術のレンズなら必ず安心なの?
ここはとても大切な点です。

コンタクトレンズと仕組みが違うので、同じ理由でつらくなるとは限りません。
ただし、だからといって、手術のレンズで誰にも違和感が出ない、という意味ではありません。

遠くも近くも見やすくするタイプの手術用レンズでは、手術のあと、脳が新しい見え方に慣れていく時間が必要になることがあります。
人によっては、

「何となく見え方が落ち着かない」
「前より便利になったけれど、見え方の質が少し違う」
「少し疲れやすい感じがする」

と感じることがあります。

手術後しばらくは違和感やふらつく感じが出る方がいて、慣れるまでに4〜6週間以上かかることもあります。
また、人によっては、数週間ではなく、もう少し長い時間をかけて慣れていく場合もあります。

ですので、以前コンタクトレンズが合わなかった方でも、手術のレンズでは問題なく過ごせる方はいます。
一方で、手術のレンズには手術のレンズなりの“慣れ”が必要なこともあるため、術前にきちんと理解しておくことが大切です。

手術のあとの見え方で、知っておいていただきたいこと
遠くも近くも見やすくするタイプの手術用レンズには、大きな魅力があります。
うまく合えば、眼鏡に頼る場面を減らせる可能性があります。
これは、多くの方にとって大きなメリットです。

ただし、その一方で、夜にライトのまわりがにじんで見えたり、光がまぶしく広がって見えたりすることがあります。
夜の運転や暗い場所での見え方に、少し違和感を覚える方もいます。

また、人によっては、見え方が少しやわらかく感じたり、「くっきり感」が思ったほどではないと感じたりすることもあります。

つまり、便利さが増える可能性がある一方で、見え方には少し特徴が出ることがある、ということです。
これは「良い・悪い」で単純に分けられる話ではなく、その方が何を大事にしたいかによって評価が変わります。

どんな方は、特に慎重に考えたほうがよいの?
手術用のレンズ選びで大切なのは、すべての方に同じレンズが向いているわけではない、ということです。

たとえば、

・夜の運転をよくする方
・光のにじみやまぶしさが気になりやすい方
・少しの見え方の違いでも強いストレスを感じやすい方
・目の乾きが強い方
・「くっきり、はっきり見えること」を何より重視したい方

では、遠くを見ることを優先したシンプルなレンズのほうが満足しやすいことがあります。

反対に、多少見え方に特徴があっても、できるだけ眼鏡を減らしたい方には、遠くも近くも見やすくするタイプのレンズが合うこともあります。

大切なのは、どのレンズが一番優れているかではなく、その方の生活や希望に合っているかどうかです。

以前のコンタクトの経験は、必ず医師に伝えてください
「遠近両用コンタクトを使ったら気分が悪くなった」という経験は、レンズ選びのうえでとても大事な情報です。

医師にとっては、その経験から、

・どんな見え方が苦手だったのか
・乾きや装用感が問題だったのか
・それとも遠くと近くの見え方を同時に使うこと自体が合わなかったのか

を考える手がかりになります。

この情報があることで、遠くも近くも見やすくするタイプのレンズが向いているのか、それとも別の選び方のほうが安心なのかを、より現実的に相談しやすくなります。

過去に合わなかった経験は、悪い情報ではありません。
むしろ、より自分に合った選択をするための大切なヒントです。

最後に
遠近両用コンタクトレンズでつらい経験があった方が、白内障手術のレンズ選びに不安を感じるのは当然のことです。

ただ、コンタクトレンズと手術で目の中に入れるレンズは仕組みが違うため、コンタクトが合わなかったからといって、手術のレンズも必ず合わないとは言えません。
その一方で、遠くも近くも見やすくするタイプの手術用レンズには、夜の見え方や慣れの問題など、あらかじめ知っておきたい特徴もあります。

ですから大切なのは、「流行っているから」「便利そうだから」で決めることではありません。
ご自身のこれまでの経験、生活スタイル、夜の運転の有無、眼鏡をどのくらい減らしたいか、見え方に何を求めるかをもとに、納得したうえでレンズを選ぶことです。

手術前に少しでも不安がある方は、どうぞ遠慮なくご相談ください。
小さな違和感の経験こそ、術後の満足につながる大切な手がかりになります。
一緒に、無理のない、納得できる選択をしていきましょう。

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